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6月12日 メッセージより

2022/06/12(日)

2022年612日メッセージ「命と平和を求めて」より

牛田匡牧師

聖書 ローマの信徒への手紙 8章1-17

 今回の聖書では、「肉」と「霊」という人間の二つの側面について述べられています。「肉」とは「肉体」のことで、五感で感じられる「感覚」のことです。私たちはそれによって食べたり、寝たりして暮らしているわけですが、その肉体はいずれ来る「死」を避けることは出来ません。またいわゆるモノやカネが増えることを求め続けるような経済至上主義の行く先も、地球環境や資源を食い尽くす「死」に至ります。しかし、私たちにはそのような「肉」だけではなく、神様からの「霊」も与えられています。その「霊」とは、イエス・キリストを十字架での死から引き起こされた神の霊であり(11)、私たちをキリストと共に生きさせてくれる(13)ものです。そして「肉の思いは死であり、霊の思いは命と平和です」(6)とある通り、私たちは自分自身の中に与えられており、また命と一体のものとして、その中に生かされている所の「神の霊」、「キリストの心」に自分自身を合わせていくことで、死に向かって進むのではなく、命と平和に向かう方向へと向かって行くことが出来るのです。

 神の霊、神の力はどこに働くのか。それは誰の目から見ても明らかなような大きい所、ヒトとカネとモノがたくさん集まるような明るい所にではなく、むしろ人々から見向きもされない、埋もれた宝、取るに足らない小さな土の器、暗がりの中なのではないでしょうか。聖霊は、暗闇を照らし出す炎であり、奥深くに閉ざされた命に吹き込む風であり、人々を赦しと信頼で結びつける絆です。私たちは今、大きな時代の変化の只中にいます。世界の経済がいくら発展しても、モノやカネの豊かさだけでは人の心は満たされず、人の心の中にある敵意や憎悪や差別心は、なくならないということが明らかになっています。私たちの目の前にある壁は高く、困難は大きく、とても向こう側へは行けそうにない、もう諦めてしまおうかと思うような時もあります。しかし、そんな時でも私たちは決して一人ではありません。命と平和を求めてやまない神の霊が、聖霊が私たちと共にいて、私たちを命と平和へと至る道へと導かれます。暗闇の中にいる弱く小さくされている者たちの中にこそ、神の力は豊かに働くという聖書の言葉に信頼して、私たちは今日もここから神様と共に歩み出していきます。

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