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9月4日 メッセージより

2022/09/06(火)

2022年94日 メッセージ「くすぶる灯心の火を消さず」より

牛田匡牧師

聖書 マルコによる福音書 121-12

 今回のお話は、ぶどう園の主人と農夫たちのたとえ話でした。当時のガリラヤの農民たちは、重税に苦しめられ、先祖伝来の土地を借金の抵当として奪われた人々が多くいました。この話に登場する主人とは、農夫たちから土地を取り上げ、それらを合わせて大きなぶどう園を作り、そこで小作人たちを働かせていた農場主でした。彼らは農園や領地を各地に所有する「不在地主」として、それぞれの場所を時々見回りました。さて収穫の季節になり、主人は収穫物の取り立てに僕(しもべ)を送りますが、小作人たちによって暴力を振るわれて追い返されます。それが3回以上も繰り返された後、最後に主人は息子を送りますが、その息子も殺されてしまいました。これは小作人たちによる衝撃的な事件の話ですが、実際、貧困と格差にあえぐ当時の農民たちによる抵抗事件は、各地で起こり、そのたび武力によって鎮圧されていました。ですから、聞き手たちはそのような暴力的手段が解決をもたらさないことも、よく分かっていたに違いありません。それにもかかわらず、このイエス様のたとえ話は、聞いた人々の心に残り、福音書に書き記されました。何故でしょうか。

 聖書の中には、公正な社会を確立するのは、力強く立派で、声の大きい人ではなく、むしろその逆で今にも折れそうで、火が消えそうで、押しつぶされそうになっている人によってだと言われています(イザヤ4224)。折れそうでも折れず、消えそうでも消えず、押しつぶされそうでも押しつぶされないことによって、神の御心は実現される。「神様の力は弱さの中で完全に現れる」(2コリント129)という不思議な現実が確かにある、ということを、古代の預言者も、イエス様も、そして歴代の教会の人たちも、身をもって示してきたのではないかと思います。またイエス様は「体は殺しても、命(魂・自分自身そのもの)を殺すことのできない者どもを恐れるな」(マタイ1028)とも言われています。イエス様の言葉を聞いた貧しい群衆たちは、主人から様々な苦しみを受けても、自分たちの抵抗の魂は決して消えない。暴力に対して暴力で抵抗することはできなくても、神様が共にいて自分たちの命、尊厳、生活を守り生きていく道が、どこに見出せるはずだというメッセージを受け取ったのではないでしょうか。

 現代を生きている私たちもなお、多くの課題の中にあります。それでもなお決して絶望するのではなく、共に活かし合う道を諦めることなく探し続けること。たとえ、ろうそくの火は今にもくすぶっていて消えそうであったとしても、それでもなおその「くすぶる灯心の火」を消さないようにして灯し続けること。そこに神様の力が働き、私たちは導かれていきます。

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