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9月25日 メッセージより

2022/09/29(木)

2022年9月25日 メッセージ「思い出に残るもの」より

牛田匡牧師

聖書 マルコによる福音書 14章1-9節

 イエス様が「べタニアで香油を注がれる」という今回のお話は、4つの福音書に書かれているお話です。細かい違いはありますが、共通点としては①女性がイエス様に香油を注いだ。②食事の場面だった。③男性が女性を非難した。④イエス様が女性の行為を支持し肯定した。という4点があります。この女性は最後にイエス様から「あなたのことは、世界中でいつまでも覚えられるだろう」と言われています。にもかかわらず、福音書にはこの女性の名前は記されず、覚えられることもありませんでした。さらに元々はイエス様の頭よりも上に立ち、頭に香油を注いだはずの女性(マルコ、マタイ)が、次にはイエス様の足元にひざまずき、香油を足に注いで自分の髪の毛で拭うという奴隷の姿になり(ヨハネ、ルカ)、さらには「罪深い女性」として描かれるまでに至りました(ルカ)。それは恐らく、人々の口から口へと伝えられる中で付け加えられて来た女性に対する差別意識や偏見に基づいた尾びれや背びれ、改変や編集によるのだろうと思われます。

 しかし、イエス様の生き様は、そもそもそれらの身分や性別、富や職業、宗教的なケガレなど、人と人とを区別し、分断する様々な障壁、バリアをことごとく打ち破るものでした。そもそも宗教的にケガレれていると考えられていた仲間の家に行き、そこで食事を共にするということ自体が、当時のユダヤ社会では非常識、あり得ないことでした。さらにその食事の席には、男性たちだけではなく、通常は一緒に食事をしない女性たちも同席しており、一人の女性がイエス様の頭の上に立って、その頭に香油を注ぎました。イエス様の周りには、それほどフラットで、オープンな関係があったのだろうと想像することができます。

 私たちは皆、自覚していないだけで、それぞれに色眼鏡をかけて生活しています。そのために自分に都合の良い言葉しか耳に入らず、自分に都合の良い出来事しか、記憶に残っていないのではないでしょうか。しかし、多くの人たちと関わり合いながら、日々の命を生かされている私たちです。思わず心に留まるものとは、どのようなものでしょうか。また本当に「思い出に残るもの」とは何でしょうか。そしてそこにはどんな色眼鏡がかかっているでしょうか。貧富の格差や、思想の違い、立場の違いなど、分断と対立がますます深まっている現代社会の中で、それらの分断と対立を取り除こうとされたイエス様の思い出、その言葉とふるまいを改めて心に留めながら、私たちは、この一週間もイエス様と共に歩んでいきます。

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