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10月9日 メッセージより

2022/10/10(月)
2022年10月9日メッセージ「もうダメだ、では終わらない」より
牛田匡牧師
聖書 創世記 32章23-33節
 今回のお話は、古代イスラエル民族の父祖の一人ヤコブの物語でした。双子の兄と父をだまして、父の祝福、財産相続権を横取りした彼は、兄から命を狙われて母の実家に逃げていました。20年の歳月が過ぎ、ヤコブはその間に手に入れた妻子や召使い、たくさんの家畜たちを連れて故郷に戻ってきます。しかし、未だに兄は自分を赦していないかもしれない。彼の心の中は不安と迷いでいっぱいでした。後は川を渡るだけだ、という所で、彼はなぜか夜中に、家族や召使いたちに川を渡らせ、自分一人だけで残ります。そしてそこで彼は突然一人の男から襲われ、夜明けまで格闘し続けました。その格闘の末に、彼は「あなたの名はもはやヤコブではなく、イスラエルと呼ばれる」と告げられ、男から祝福されました。
 彼の名前が「人を騙し、欺く者」を意味するヤコブから、「神と闘い、神が守りたもう人」を意味するイスラエルへと変えられたというのは、その生き方全部が変わったということです。彼は川辺で一人、神様と出会い、夜通し格闘することによって変えられたのでしょう。兄との再会を前にして、不安で仕方なく、自分として考えられる、なし得る限りの対策を講じたけれども、やはり最後の川を渡りきることができない。かと言って、一人で来た道を引き返すわけにもいかない。もうどうしたよいのか。もうダメだ。そんな苦しい状況の中、神様の方からヤコブの所にやってきてくれました。目に見えないはずの神様が、目に見える男の姿となって現れ、互いに取っ組み合うほどに関わりを持ってくれ、そして最終的には祝福をしてくれました。この物語は、私たちが思う「もうダメだ」では、まだ終わりではない、ということを示してくれる物語でもあります。目に見えない方が目に見える姿となって、私たちと深い関係を持たれたというのは、クリスマスに生まれたイエス・キリストの物語とも重なります。イエス様は十字架で殺された後、死から引き起こされました。そこに死を超える復活の命、「もうダメだ」では終わらない命の神と共に歩む絶対の命があります。
 様々な閉塞感を感じる現代社会です。信仰心があっても、不安や迷い、悩みがなくなるわけではありません。しかし、「もうダメだ」とも思える中で、それでも祈りながら、悩みながら模索しているその最中にこそ、神様との出会い、神様との取っ組み合いがあるのではないでしょうか。そしてその末にこそ「やっぱり、この道でいいんだ」との確信、神様からの祝福が与えられたのではないでしょうか。今日これからも、神様が共にいてくださいます。そしてそのことに信頼しながら、私たちは神様の大いなる計画の中に、一歩ずつ歩みを進めて参ります。

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