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7月30日 メッセージより

2023/08/04(金)

2023年7月30日 メッセージ「姉の名、妹の名」より

岡嶋千宙伝道師

聖書 創世記 29章 15-20

 「ヤコブはラケルのために7年間働いた。彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた」(20節)。一見すると、甘い恋心を描いたラブストーリーだけれども、そこで終わらせるわけにはいかない。ヤコブの子どもを産むことになる4人の女性たち。先程のラケル、そして、その姉レア、さらに二人の召し使いであったジルパとビルハ。彼女たちは、イスラエルの歴史を語る上で無視できない存在。それなのに、4人のうち誰一人として、自分の身に起こる重要な事柄、結婚ということについて、口を挟むことが許されていない。すべてが男性、ここでは、ヤコブとラバンの思いのままに決められていく。女性たちは、物言わない、受動的な存在として描かれている。

 もちろん、地域・時代の違いはある。だから、現代の価値基準に基づいて「旧約のこの箇所は御言葉としてふさわしくない」などと、ただ批判することはできない。大切なのは、聖書全体を、すべての箇所を、神の御言葉として受け止めた上で、その中にある欠けの部分を、今生きるわたしたちの欠けや不備を明るみに出す言葉として捉え直していくこと。レアやラケルたちから3000年以上経た時代に生きるわたしたちもまた、女性に限らず、誰かを、一人の人としてではなく、一つのモノとしてとらえるようなことがあるのではないか。当然と思われている事柄、「これが社会の中での祝福」とされている事柄の背後で、抑圧されている声、なきものにされている思い、言葉、名前、命があるのではないか。確実にある。だからこそ、当然の背後に目を向ける。

 自身が生きる時代、地域の文化の影響を受けながらも、当時の社会で「これこそが神の祝福を受けるにふさわしい道だ」と思われている事柄の背後に目を向けた人イエス。その姿にならって、わたしたちもまた、この社会で当然とされている価値観の背後で忘れられている人たちの存在に目を向ける必要がある。日雇い労働に従事する人たち。様々な障害を持つ人たち。多数とは異なるあり方の性を生きる人たち。外国籍の人たち。そして、ヤコブたちの時代から3000年以上経ったあとでも、今なお抑圧され、モノ扱いされる女性たち。一人ひとりの存在と声に寄り添っていく。世の中で名前すら呼ばれることのない人たちと共に歩み続けていく。世の中の当然をいったんかっこに入れて、その背後にあるものをしっかりと見つめ、そこに取り残されている一つ一つの思いを拾い上げていく。そんな一歩を踏み出す一週間を、みなさまと共に、イエスと共に、過ごして参りたいと願う。

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